牧田幸裕のキャリアアップを実現する自分ブランド養成塾

連載:牧田幸裕氏に聞く その7「先行きが暗い業界を見限るべきか」

今回の質問(人材営業 29歳)

このところの不景気などもあり、今いる業界の先行きが怪しくなってきました。
人と接することが好きで入った業界ですが、この業界に居続けるべきか、営業の経験を生かして別の業界に進むべきか悩んでいます。


自分自身の転職力に自信がなければ、すぐに転職先を探すべきでしょう。しかし、転職力に自信があるのであれば、今の業界に留まり貴重な体験を自分のものにすべきだと考えます。

通常、企業には創業期があり、その後、成長期、成熟期、衰退期(その後清算期)を迎えます。一般に企業に就職または転職する場合は、ベンチャー企業に就職または転職をしない限り、成長期か成熟期しか体験できません。なぜなら、多くのビジネス・パーソンは「安定した」企業に就職または転職を願うからです。
従って、多くのビジネス・パーソンは創業の大変さ、活気といったもの、衰退期や清算期の葛藤、苦悩を知ることなく過ごすことになります。

今いる業界の先行きが怪しくなってきたということですが、仮に怪しさを増し、業績が悪くなり、倒産さらに清算という状況になったとしても、その状況をつぶさに観察し、人がどれだけ苦悩し、裏切り、逃げていくのか経験することは、なかなかできない非常に貴重なものだと私は考えます。
国内市場を見る限り、これから成長する業界は限られており、そのような環境下で企業の衰退期、清算期に人がどう動くのかを知り、自分自身がどう行動すべきか先進事例を持っていることは貴重なスキルになるはずです。

私は新卒でアクセンチュアの戦略グループに入った後、外資系のベンチャー企業で日本法人のトップ・マネジメントとしてビジネスを行ってきました。ITバブルの時期です。当時は、マッキンゼー、BCGを始め、多くの戦略コンサルタントがITベンチャーのトップ・マネジメントに移籍していきました。
しかし、すぐにITバブルは崩壊。私は企業の創業期から成長期を少々経験し、すぐに清算期を経験することになりました。その当時は本当に大変でしたが、今振り返るとなかなか得難い経験でした。
この時経験した、従業員の不安への対応、経営陣の葛藤、獅子奮闘の努力、裏切りなどは、通常のビジネスではなかなか経験できないものでした。

当時一緒に経営を頑張った仲間は、再び戦略コンサルティング業界に戻ったり、新たに起業したりしています。その多くはすでにコンサルティング会社のパートナーとなり、または上場を目指す起業家として頑張っています。
私自身もそうですが、彼らは一様に、あの得難い経験により経営とは何かが理解できた、会社とは何かが理解できた、仕事とは自分にとって何なのか腑に落ちたと言っています。
従って、転職力に自信があるのであれば、敢えて修羅場を経験することも、非常によい機会だと私は考えています。

牧田 幸裕(まきた ゆきひろ)

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。
信州大学 経営大学院 准教授(MBA)
アクセンチュア、ICGなど外資系コンサルティング会社のディレクター、
ヴァイスプレジデントを経て、IBMビジネスコンサルティングへ移籍。
インダストリアル事業本部クライアント・パートナーに就任。
2006年より信州大学 経営大学院 助教授。2007年より現職。
製造業(エレクトロニクス・自動車・一般消費財)、流通小売業、官公庁、
学校法人、商社、エンターテイメント、通信業、製薬業など幅広い産業を対象に、2020年ビジョン策定、事業競争戦略策定、新規事業戦略策定、法人営業改革などの戦略策定及び実行支援を手掛けてきた。

2009-04-01 10:00:00
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