三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
各会社のトップコンサルタントに、各社のコンサルティングの特徴と、入社後経験できるキャリアについて深くお伺いする「トップコンサルタントインタビューシリーズ」。
今回は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コンサルティング事業本部 東京本部 副本部長の長尾 豊彦氏にお話を伺いました。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJグループのシンクタンクの会社ということもあって、非常に硬いイメージがあると思います。しかしながら、本当の実態を知るという機会はなかなか無かったのではないでしょうか?
三菱UFJグループの一員であるということがどのような強みを持っているのか、
また、どのように評価制度や教育制度をされているのか。
そして、長年人事として働いた長尾豊彦氏から見た「キャリア」や「人事制度」についてお話をお伺いしました。

第一回はこちらの記事になります。
http://www.consultantnavi.com/archives/50389049.html


第2回 「三菱UFJリサーチ&コンサルティングの特徴・制度とは?」

-三菱UFJリサーチ&コンサルティングの特徴とは何でしょうか?
はい。当社は三菱UFJグループのシンクタンク、その中のコンサルティングという位置づけになっていますので、一番大きいのは営業基盤がしっかりしているということです。
どこの会社も営業は苦労されているとは思うのですが、銀行や信託を含めたグループ各社からの顧客紹介というのが100%ではありませんが中心となっているので、安定した顧客を持っています。

それから、お客様は、三菱UFJグループの銀行や証券とお付き合いがあります。今後も継続するお付き合いです。コンサルティングファームとしても、お客様から絶対に逃げることができません。失敗して立ち去ることができない。だから品質にこだわる。そういう点も、グループ会社の一員だからこその特徴といえます。

また、3つのフルラインのドメインを持っているので、いろんなニーズをお持ちの企業に対し対応できるということと、それからグループ間の協業が可能です。
例えばグループ経営という観点で、戦略系と人事系がいっしょになってグループ経営・グループ人事といった形でやっていきましょうとか。そういう部分も当社の特徴であると思います。

-具体的にはどのような形でしょうか?
いろいろパターンはあるのですが、スタンスとしてはお客様のニーズに合わせて柔軟に対応していく方針にしています。例えば合併人事など合併にかかる話のときは、全体をコーディネイトしてほしいという話と、人事の部分のみで人事制度を統合したいという話など、両方きたりします。
そういう場合は戦略部門が全体のコーディネイトで、あとは組織人事部門に任せたりとかしていますね。

それから、人事のコンサルのお手伝いとして最初入ったのですが、途中からお客さんが「マーケティングやCS調査をやりたい」という場合は、当社の中でもマーケット調査室というのがありますので、そこにつないで紹介して、ニーズにこたえるなどしています。

また、お客様から、著作物等をご覧になって銀行や信託銀行に問いあわせがありましたら、一旦コンサルタントもお客様からお話を伺った上で、お客様のニーズに合わせた企画書を提示しています。その段階で違う部門のコンサルタントを同行させることもあれば、最初は単独で始め、終わり間近で次の課題について話し合ったりしています。

-風通しがいいんですね。
私が入ったころは、個人コンサル的な時代だったこともあり、社内の風通しはいいとは言えなかった。自分の仕事、クライアントを持っていかれるため、他のコンサルタントには自分のプロジェクトは見せないという風土でした。

しかし、今は全く違っています。
例えば地域をまたがった案件であれば、地域別のドメインの長と本部長の間で話し合いを行い、協業を積極的にしましょうとなっています。

コンサルタントの協業というのは、実はお互いがお互いのレベルを信用していないと紹介とかしませんよね。風通しといった面でも、それが可能になった段階になるのかな、と思います。

-シンクタンクということで堅いイメージがありますが…
私も当初はあったのですが、シンクタンクというと、調査、研究色が強いイメージがあります。なので、コンサルティングのほうもリサーチ系のコンサル、マーケティング調査とかCS調査とか、そういうのが多いというイメージが非常に持っていられると思います。

しかし、実際に中に入ると、調査だけでは何も変えることができないということに気付きます。ですから、リサーチ系は中心ではなく、変革にかかわるコンサルティングがやはり中心ですね。

上流工程の中をどうお手伝いするのかというのがコンサルタントの面白み・楽しみだと思っていますので、昔は調査系のコンサルティングが多かったと思いますけど、ここ15年くらいの間で非常に変わってきています。

役員クラスでは銀行からの転籍の方もいますが、昔は部室長も銀行出向者でしたが、コンサルタント出身の方が部室長になることも少しずつ増えてきて、今では部室長全員がコンサルタント出身者となっています。

-三菱UFJリサーチ&コンサルティングのアサインメントはどういうしくみですか?
事業部ごとで異なります。会社としてアサインメントプロセスで決めているのではなく、各事業部の部長のマネジメントによって変えています。

ちなみに人事組織部門は公募制です。
『こういう案件をこういうスペックで取れました。つきましては、案件をとってきたプロジェクトリーダーがサブプロジェクトリーダーとメンバーを何人募集します』と。社内に公募を出します。営業もプロジェクトリーダーもコンサルタントがやります。
営業担当が企画書を書いて営業だけをずっとやっているわけではありません。やはり、実際にコンサルティングをやる人が企画書をかかないと、「取るがための企画書」となってしまい、「コンサルティングを実際にやる企画書」にならないと思っています。

公募して、それで応募者の中からプロジェクトリーダーと部長が協議の上で最終メンバーを決定するというしくみになっています。
また東京の戦略系だとテーマによってこの社員にやらせようというのがあるので指名制でやっているとかありますよね。ドメインと部室によって、アサインのしくみは異なるという形ですね。

-評価制度はどのような形になっているのですか?
実は今年、変えたところです。
変更前は、プロジェクトが終わった段階で、プロジェクトにかかわった人間が「どれくらいかかわったのか」ということに対して反省会をし、そうすると個人別にプロジェクトの貢献したパーセンテージが決まるんですね。そうすると個人の働いた分に対する粗利益がでます。
その粗利益の累計に目標値があって、目標に対してどれだけ達成すればボーナスがでるとか。そういう評価制度でした。過去よく言われていた粗利中心の当社の評価制度のイメージがこれだったんです。

変更後ですが、今年から定性評価の部分を4割くらいと決めました。残りは個人の最終的に獲得した粗利額というのを使っています。定性評価の割合は、プロジェクトリーダークラスとサブPLクラスとメンバークラスの部分で当然違いますが、共通しているのが、組織に対してどれだけ貢献したのかという点を中心に評価している点です。
当社はチームでのコンサルティングが中心なので、他のチームメンバーに対してどれだけ貢献したかとか、あるいはコンサル事業本部の施策に対してどれだけ貢献したのか。または、若年層の育成にどれくらい貢献したのか、というような定性評価を入れて、自分だけの力をのばしていくっていうのではなく、組織に対しての貢献度も評価しているようにしています。それを年に1回評価しています。
昇格についても定性評価と業績評価を合わせて検討していきます。

評価の姿勢として、単純な言葉でいえば、短期的な収益は6割分、中長期的な当社の発展は4割くらいでやっていきましょうという形ですね。

-不満は出たりはしませんでしたか?
一部ありますね。
しかし、人事の評価制度っていうのは、会社がどういう人材を求めているかという姿なんですよね。
過去は、個人でとにかく稼いでくれたらいいよっていう風習が強かった。しかし、ここ数年の間に、組織とか、社会とかの貢献を含めた視点でいかないと、良い組織にならないんじゃないか、という流れ・考え方になっていきました。
その考え方に合わない部分って絶対ありますよね。過去の「とにかく自分で稼ぐ」という価値観を持っている人は、不満がないとは言えないですよね。

-コンサルでよく見られるアップ・オア・アウトというカルチャーはあるんですか?
当社ではあまりないですね。アップ・オア・ステイだと思います。
もちろんやめる社員もいますけどね。

当社の企業理念は、
“ Humanism に立脚し、Romanticism とRealism の両立を目指す ”
というものです。

基本的な部分は、情だけじゃ経営はできませんから、論理に情を添える。
このベースをもっていますので、アップ・オア・アウトという考え方にならないんですよね。

-教育制度はどのようになっていますか?
コンサルティングをやる上で知っておかなければいけないことは勉強させます。
たとえば契約の話や、経営についての知識だったり、マーケティングだったり、そういうどのドメインのコンサルをやるにしても、基礎として知っておかなければいけないないような知識やツールなどはこちらで整備して、1か月くらい勉強させます。
キャリアで入られた方は、現在準備中ですが、社内でいつでも勉強できるポータルを用意して、年に何回か定期的に集中研修する予定です。

このようにして基本的なレベルの部分は揃えていきます。

そこからどういう風に育てていくのかというところですが、ドメインによってそれぞれ違います。
例えば私のところの組織人事部門のケースでは、民間企業の人事の出身者であれば、プロジェクトという形態自体わかりません。ですので、1年目は基本的にチーフコンサル以上がいるプロジェクトに、アサインさせます。異なるチーフコンサルタント以上のプロジェクトを3本以上経験させます。できるだけベーシックなテーマのプロジェクトで、コンサルティングの進め方とスキルを学んでもらいます。
また、それに合わせて部内で短期集中即戦力研修というものを月に2回くらい実施しています。それで育てます。

しかしながら、これに着いていけない方は、置き去りにされます。また、勉強することが嫌いな方はこの業界では無理ですね。

このようにOJTとOFF-JTをやっていますが、割合的にはOJTが7割の比重ですね。

-いきなり小規模のプロジェクトにアサインされるということはありますか?
コンサル経験者であればそれもありえます。ただ特に若い層から中堅クラスについては、最初から小規模のプロジェクトにアサインすることはしません。

- 有難うございました。

>>第一回の記事へ


長尾 豊彦 - Toyohiko Nagao -

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 東京本部
副本部長 兼 組織人事戦略部長

1954年生まれ、岡山大学を卒業後、ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)で17年間事業本部人事課長、本社労務課長、事業本部人事総務部長など人事労務関係の実務を務める。
1994年三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)入社、以来100社以上の組織・人事コンサルティングを手がけている。
2000年、組織人事戦略部設立と同時に部長就任(コンサルティング兼務)。

2009-03-09 10:00:00
コンサルタントナビに掲載されている画像・文章・データの無断転載を禁じます。
すべての著作権は株式会社ティンバーラインパートナーズ(コンサルタントナビ運営)に帰属します。
Copyright(C) 2004-2008 Timberline Partners, Inc. All Rights Reserved.
なかのひと