
連載:牧田幸裕氏に聞く その5「今の会社では変革ができない」
今回の質問(精密機器メーカー製品開発 32歳)
現在精密機器メーカーで製品開発をしていますが、いまの会社の制度は硬直的で、人のやる気を変えなければ、会社は変わっていかないと痛感して、人事や組織を変えていくコンサルティングをしたいと考えています。どうしたらいいでしょうか?

まず現在お勤めの会社で人事や組織を変えていく仕事をし、自分なりに満足できる結果を得られることをお薦めします。その上で、人事・組織関連のコンサルタントに転職したければ、そうすればよいでしょう。
この順番は重要です。というのも「今の会社では自分の思うようにいかない。だから外部に出てコンサルタントとして自分の思うように企業を変革する」というのは、まず不可能だからです。
コンサルタントというのは、クライアント企業にとってあくまでも外部の人間です。企業外部のコンサルタントが現場の人たちに変革を要求した場合、通常現場の対応は「なんでウチのことをよく知りもしないコンサル風情の言うことを、私たちが聞かなければならないんだよ」という対応になります。
企業内部で自分の組織を変革することも非常に大変ですが、外部から組織変革を行うことはさらに大変です。したがって、現在お勤めの会社で組織変革にチャレンジしようという気概がないのであれば、コンサルタントになり外部から企業変革を行うことは、まず不可能でしょう。
現在の組織に所属したまま組織変革を行うにも、社内政治やしがらみなどがあり難しいと感じられるかもしれません。しかし、そもそもすでに転職を考えているのであれば、社内政治やしがらみなどにぶつかり、自分の我を出してかまわないと思います。そのようなしがらみを超えて組織変革に成功したのであれば、その経験はコンサルタントになったとしても役に立つでしょうし、仮に組織変革に失敗したとしても、それはそれでよい経験になりますし、その会社を出てコンサルタントになってからその失敗の轍を踏まなければよいだけです。
企業外部のコンサルタントが、よそ様の企業を変革するためには、見方によっては強引なまでのリーダーシップ=我が必要です。非常に多くの現場の人たちを敵に回してでも我を通し切れるだけの強固な精神力が必要となりますし、行動力も求められます。強い精神力と行動力がなければ、コンサルタントになったとしても成功できません。
大切なのは、「今の組織に不満があるから、外部に青い鳥を求める」では外に出ても成功しないということです。「今の組織に不満があるから、思いっきりぶつかってきた。その経験や得られた知見を、是非他の企業にもぶつけたい」という視点が必要となります。
![]() | 牧田 幸裕(まきた ゆきひろ) 京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。 信州大学 経営大学院 准教授(MBA) アクセンチュア、ICGなど外資系コンサルティング会社のディレクター、 ヴァイスプレジデントを経て、IBMビジネスコンサルティングへ移籍。 インダストリアル事業本部クライアント・パートナーに就任。 2006年より信州大学 経営大学院 助教授。2007年より現職。 製造業(エレクトロニクス・自動車・一般消費財)、流通小売業、官公庁、 学校法人、商社、エンターテイメント、通信業、製薬業など幅広い産業を対象に、2020年ビジョン策定、事業競争戦略策定、新規事業戦略策定、法人営業改革などの戦略策定及び実行支援を手掛けてきた。 |


