
連載:牧田幸裕氏に聞く その2「マーケティング戦略の専門家になりたい」
今回の質問(消費財メーカー 31歳)
消費財メーカーで法人営業を7年経験し、主任をやっております。営業経験をコアにマーケティング戦略のプロフェッショナルとなり、将来は独立したマーケティング戦略の専門家として活躍できる人材になるのが夢です。どう思われますか?

これまで日本企業の多くは、血と汗と涙の「根性型法人営業」を行ってきました。しかし、現在、多くの企業ではそういった「根性型法人営業」から、「提案型法人営業」へ営業方法の変更の必要性が高まってきています。
「根性型法人営業」では、顧客である卸や小売店にとって、メーカー営業の労務提供だけが価値であったり、製品の価値が認識されず価格交渉やリベートだけが価値として認識されてしまいがちだからです。このような営業を続けている限り、そのメーカーの営業部門の生産性は上がりませんし、収益性の改善もなしようがありません。
現在は顧客である小売店(卸を通じて小売店へ提案する場合もある)の収益を最大化するために、どのようなカテゴリーマネジメントを行い、どのような棚割にすべきなのか提案する力が求められています。そのような提案ができれば、価格交渉やリベート商談に陥ることなく、メーカーの収益性向上も図れるわけです。
したがって、マーケティングのスキルを身に着け営業力を更に向上させたいという考え自体は、顧客が求めるスキルの変化に対応するものであり、正しい考え・正しいキャリア構築の方向性だと私も考えています。
しかし、そのキャリアを実現するために法人営業の経験が7年あることや、主任であるということは全く関係がありません。重要なのは、どのような法人営業をこれまでやってきて、どういうスキルが自分自身の中に蓄積できたかです。
「根性型法人営業」を7年間やってきたのであれば、「提案型営業」のスキルは全く蓄積されていませんし、肩書きがどういうものであろうと「提案型営業」とは関係がありません。
そこで、これまで7年間の営業活動を棚卸し、どのようなスキルが身についているのかを明らかにすることをお薦めします。
日本企業のマーケティング戦略立案能力は、一部の優秀な企業を除くとほとんどの企業が非常に低いと言わざるを得ません。それは、現場を知らないマーケティング担当者が戦略を立案しているからです。数字を見たりグラフを見て戦略(もどき)を立案するだけでは、顧客のことを理解しているとは言えませんし、また、営業現場に対しても響く打ち手とはならないのです。
したがって、営業の現場を知り、マーケティング戦略立案のスキルを身につけるということは自分自身のスキルを希少なものにすることであり、非常に価値のあることだと思います。
自分自身が獲得したスキル、足りないスキルを明らかにし、スキルアップをぜひ頑張ってみてください。
![]() | 牧田 幸裕(まきた ゆきひろ) 京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。 信州大学 経営大学院 准教授(MBA) アクセンチュア、ICGなど外資系コンサルティング会社のディレクター、 ヴァイスプレジデントを経て、IBMビジネスコンサルティングへ移籍。 インダストリアル事業本部クライアント・パートナーに就任。 2006年より信州大学 経営大学院 助教授。2007年より現職。 製造業(エレクトロニクス・自動車・一般消費財)、流通小売業、官公庁、 学校法人、商社、エンターテイメント、通信業、製薬業など幅広い産業を対象に、2020年ビジョン策定、事業競争戦略策定、新規事業戦略策定、法人営業改革などの戦略策定及び実行支援を手掛けてきた。 |


