
第5回:いい余生三冠達成はやっぱり『「経営幹部」か「経営幹部」を雇う人』
第一回では、『自分の人生の選択は自分の頭でよくよく考えて、自分で決めること』、そして第二回では、『リタイア直前の状態とリタイア直後の状態が、能力的かつ、経済的に、自分の希望とマッチしていてこそ「安定したいい余生」が保証されているといえるのではないか?』といった話をした。また第三回、第四回では「企業内外」における7つのキャリア目標パターンとそのリタイア後状態の話を整理してきた。今回はいよいよ、いい余生を送るためのキャリアゴールの設定につき、解説する。
1) キャリアゴール設定のポイント1=予定より高い目標をセットしてがんばること
この連載の第2回で、読者の皆様も、ご自分の余生とそのリタイア時の目標資産額についてはある程度決めてもらっていると思うが、筆者の拙い経験から言っても、その目標値は高めに設定するに越したことはないと考える。
どんなに考えても目標値より大きな結果を出すことは殆どありえないが、目標値より下振れするのは当たり前のようにありえるからである。
であるしたら、将来、10億円欲しければ目標は50億円。3億円欲しければ目標は10億円目指したほうがいい。1千人企業の社長目指すなら1万人企業の社長。中小企業の社長目指すなら上場企業の社長。部長目指すなら、企業役員を目標にセットしよう。
「今のところ目標がはっきり持てない」というのが、最もよろしくない。目標がもてないのであるなら、思いつく限り最も高いところを目標にセットしよう。高い目標目指してがんばっていれば、キャリアは後から調整しやすい。
リタイア後に必要なお金に関しても、生活するのに必要なお金はもとより、お金を使った投資活動などを通して、社会にもっと貢献したいのであれば、老後の生活資金+αで2〜3億円だけではたちまち足りなくなる可能性がある。
老後の生活資金+αの合計で2〜3億円貯めるためにはリタイア前10年間の年収を3000万円超えさせるか、自分持つ企業・事業を上場・売却するなどの投資活動で資産を作るしかない。つまり、かなり高い目標をセットしないととてもとても悠々+投資生活などおぼつかないのである。
2)キャリアゴール設定のポイント2=リスクをうまく回避、マネジしながら成功を目指す
高い目標をセットしたからといって、そこにより確実にたどり着くためによくよく頭を使う必要がある。
3億円欲しいからといって宝くじに全人生を賭ける人は殆どいないのと同じである。また学生時代に起業したビジネスが成功する可能性はとても低いし、営業経験の無い人が立ち上げた営業会社や、人材採用経験の無い人が立ち上げた人材企業が成功する可能性も高いとはとてもいえないだろう。
経験したことの無いことを試みるのはもともとリスクである。給料もらって新しい経験するチャンスがあるならそのときに徹底的に経験しよう。
また他人がやっていないことをやるのもリスクである。しかし、逆にみんなやっていることは誰でも出来る成熟していることだから儲かるチャンスはあまりなさそうである、むしろ他人がやっていないことにこそビジネスチャンスがあるかもしれない。内外の成功事例を探して、成功者をつれてきて新しいことにあたるなど、リスクをうまく回避、マネジすることが必要である。
3)結局のところ、いい余生三冠達成(悠々+投資+先生)を目指すには?
第3回と第4回で述べた、考えられるキャリアで、リタイア時の年収が3000万円を超えうる、ないしは、自分持つ企業・事業を上場・売却できる立場になりえるキャリアは通常、以下の3つのキャリアに限られてくる。
★企業経営者
★オーナー社長ないしはオーナー(投資家)
★プロフェッショナル
この中で一番リスクとリターンの大きいが言うまでもない、オーナー社長ないしはオーナー(投資家)である。
図)悠々+投資家+先生ライフの三冠達成はやはり「経営幹部」かそれを雇う人

第4回で述べたとおり、ゼロから立ち上げて、大成功して億万長者(ビリオネア)になったオーナー経営者から、そこそこで止まっているオーナー経営者、自腹で損失補填しながら細々続けているオーナー経営者。
撤退タイミングを逸して倒産し、破産したオーナー経営者までいろいろあり、成功しているオーナー経営者はほんの一握りである。
これに対し、(雇われ)企業経営者は通常の場合、報酬が約束されているので、企業経営を大きなエラーせずに進めることが最低限できれば、一般的な役員報酬分は確保できるし、あるていど資産がたまれば、一部、自社株を買ったりしながら、共同経営者への道も狙える。ただし、税金が大きくかかってくる問題などもあり、役員報酬だけで億万長者を目指すのは実際のところ、かなり大変である。
プロフェッショナルは、自分自身をある意味商品として売れるため、商品価値がなくならない限り、安定した収入が期待できる。その価値が高ければ高いほど、収入も大きくなる。またこのようなプロフェッショナルを採用、育成し、企業組織として束ねることにより、事業面での収入も期待できることになる。このプロフェッショナル企業組織に共同投資(パートナーシップ)したり、または自らオーナーになってプロフェッショナル企業組織を立ち上げることも可能である。
しかしながら、プロフェッショナルはそもそも組織に所属しなければいけない必然性の無い職種であるため、組織として大きくすることに限界が発生する可能性が高い。
そのためこの事業の延長線上でやはり億万長者を目指すのもそんなに甘くないと考察できる。
プロフェッショナル組織を大きくして維持する秘策を練るか、プロフェッショナル組織を活用して、うまく他の事業を大きくするなどのうまいやり方が必要である。
これら3職種で、独自のやり方が成功すれば、講演、書籍、ビジネススクールの先生の話は幾らでも来ると考えてよい。そのため、ビジネスでの成功を目指せば、先生のくちは心配しなくて良い。
悠々自適で、社会のために投資活動し、先生になる三冠王達成には、一長一短あれども、この3職種、つまり、『「経営幹部」か「経営幹部」を雇う人』が目指すべき職種であることには間違いない。
次回はこの『「経営幹部」か「経営幹部」を雇う人』になるための最適なキャリアパスにつき考察する。
ミニテスト5
第一問:キャリア目標を達成するため、より高い目標設定が必要なのはなぜか?
第二問:余生三冠達成(悠々+投資+先生)が目指せる目標キャリアはどれか?
第三問:余生三冠達成(悠々+投資+先生)が目指せる目標キャリアを一言で言うと?
前回(連載第4回)のミニテストと模範解答
【ミニテスト4】
第一問:オーナー社長で無い社長が「雇われ社長」といわれるのはなぜか?また「雇われ社長」が安泰な立場でないのはなぜか?
第二問:プロフェッショナル職から狙える2つのキャリアアップの方向性は何か?
第三問:大学教授になるために必要不可欠な要素は何か?またどのようなリスクがありえるか?
【ミニテスト4(回答案)】
第一問:大株主でない企業経営者は、結局大株主に雇われている経営者(いわゆ
る雇われ経営者)であるとも言えるわけである。株主総会で取締役の選任決議に
て選任されずに、社長が首になるケースは珍しくない。
第二問:能力の価値(=単価)を高めることによるキャリアアップの方向性とプ
ロフェッショナルを束ねて、より大きな社会的成果を出し、事業としての価値を
高めたいと考える方向性の2つ。
後者はプロフェッショナルから(オーナー)経営者への移行を意図としたパターンも言える。
第三問:大学教授になるには一般を超えた専門性と独自性を兼ね備えなければな
らない。一般を超えた専門性と独自性を維持、確保しない限り価値は失われる。
少子化の影響で学校経営も厳しく、学生を集められない学校や教師はたとえ、そ
の研究成果が優秀であっても安泰ではいられない社会背景がある。
グローバル化と企業法人との研究競争により、専門領域の価値があっという間に陳腐化する可能性もある。
松川 孝一
シンクログローバル株式会社 代表取締役社長
株式会社日本ピーエスエス 代表取締役社長
早稲田大学商学研究科、早稲田大学ビジネススクール 客員教授
早稲田大学IT活用新ビジネス研究会 副理事長
学習院マネジメントスクール 講師・顧問
東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。
プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社入社。PwCコンサルティング株式会社 執行役員 パートナー、アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス株式会社 執行役員 パートナー 公益事業部長、株式会社大洋システムテクノロジー取締役を経て現職。
また現職のかたわら、早稲田大学ビジネススクール客員教授としてIT戦略マネジメントの授業、学習院マネジメントスクール顧問・講師としてABC/ABM、プロジェクトマネジメントの授業を受け持つ。
主著に「図解ABC/ABM(第二版)」東洋経済新報社、共著に「MOT」入門日本能率協会マネジメントセンターなどがある。
ここまでの約10年間の間、計500人以上の様々な会社におけるのプロフェッショナル職のキャリア相談を受けている。
現在、従来からのコストダウン、シェアアップのコンサルティングに加え、新しい事業コンセプト・事業モデルの開発にチャレンジ中。
http://www.syncgl.com/【シンクログローバル株式会社】
http://www.winb.org【早稲田大学IT活用新ビジネス研究会】

