「30歳までに経営幹部になれるキャリアの作り方」バックナンバー

30歳までに経営幹部になれるキャリアの作り方

第3回:リタイア時のキャリア希望パターンと、その後の選択肢 1/2

第1回では、『自分の人生の選択は自分の頭でよくよく考えて、自分で決めること』、そして第2回では、『リタイア直前の状態とリタイア直後の状態が、能力的かつ、経済的に、自分の希望とマッチしていてこそ「安定したいい余生」が保証されているといえるのではないか?』といった話をした。

リタイア直前のキャリアと行っても様々だが、いろいろな人に『リタイア直前のキャリアはどうなっていたいの?』と聞くと、私の経験の範囲で、大枠、以下7つのパターンに類型化される。

1) 普通の会社員でキャリアを終えてもかまわないと考えるパターン


 若いうちからこのパターンを目指している人とは殆ど会ったことは無いが、仕事以外の生きる目的に人生を集中しているケースか、ある意味最初からあきらめているケース。
リタイア時の年収が700万円を超えることは難しいと考えられる。一般に言う経済的「悠々自適」の生活は難しいかもしれないが、精神的な「悠々自適」の生活をおくれればそれはそれでいいのではないか。

会社に入っても全員が役職者になれることは無いだろうし、望むと望まないにかかわらず、結果的にこのキャリア止まりの人は少なくないだろう。

客観的に見て、大したがんばりも無く同じ会社に居座ったり、何かまとまった成果を出す前に転々と転職を繰り返すと、役職者にたどり着けないリスクはさらに大きくなると考えたほうが良い。
そもそも狙ってもいないのに、結果的に望まないキャリアに落ち着いてしまうことは出来るだけ避けたいものである。

2) 企業の役職者までたどり着きたいと考えているパターン(いわゆる課長、部長、事業部長など)


 会社員として普通以上に勤め上げれば、このレベルのキャリアにはたどりつけるはずだ。と考えるケース。
良い会社でエリートコースに乗れば、リタイア時の年収は1500万円超も狙えるだろう。部長以上の役職者になれば、経済的にもそこそこ「悠々自適」の生活をおくれるともいえそうだ。

ただし、このくらいの年収ではあまり大きな投資余力を持てないことも確かなので、何かオーナー(投資家)としてのリタイア後を求めるとすれば、飲食店(喫茶店)を出すとか投資用マンションを持つくらいだろうか。

 在職中に、自分の考えをしっかり持って、人材育成に勤しむとか、創造性を発揮していい仕事をするとか、自分として「いい仕事をやりきった」感があれば、一緒にがんばった仲間とリタイア後の精神的「悠々自適」を十分満喫することも可能である。

但し、あくまでも一般企業の管理職では、特別な専門性があるわけでもないので、仕事のからみで、人に何かを教えることをリタイア後の目標には出来ないだろう。

3) 企業の経営者までたどり着きたいと考えているパターン(役員から社長、会長まで)


 会社員からはじめて、かなり多くの人が狙うのが、経営者への道だ。

経営者は「どれだけ会社に数値的成果を出したか?(損益又は企業価値)」で株主に評価される立場ではあるが、その成果規模と企業の性質にもよるが4000万円以上の年収を得ている人もいる。

税金等様々な要因で実質上の手取りは半分近くまで目減りするが、これだけもらえれば経済的には余裕で「悠々自適」な上に、自らそこそこの規模の事業を立ち上げる乃至は投資する資金を持つことが可能になるとも言える。

また、インセンティブとして少ないシェアの株式やストックオプションなどの資産を持たせてもらえる可能性もあるだろう。

企業の経営者ともなれば、それまで一緒にがんばってきた仲間がたくさんいるだろうし、社外にも多くの良質な人間関係のネットワーク構築も期待できるので、周りの人を大事にすればするほどいい意味での精神的な「悠々自適」な、リタイア後の生活も期待できるだろう。

また、「独自の考え方で企業を早く大きく成長させた」など、その独自性に価値が出てくれば、その教えを乞いたい人たちも出てくる可能性があり、大学教授などの、啓蒙活動への道もありえる話である。
そういう意味では最も低いリスクで最も幅広いリタイア後キャリアを期待できるパターンとも言える。

 しかし、なぜかエスカレーター的に昇進し、いつの間にか、それまでに作られているブランドや仕組みに乗っかってしまって、経営者になってもたいした成果を出し切れていない企業経営者も少なくない。
この場合は、在職中ももちろんだが、リタイア後のキャリアもそれなりになってしまうのは仕方が無いし、そのように周りから言われてしまうのも悔しい話だ。

 また、期待通りの成果が出ないと、年に一回の株主総会で不信任を受け、たとえ社長、取締役であってもたちまち解任になってしまうリスクは、ある意味社員以上に厳しい立場であるとも言える。オーナー(大株主)で無い経営者はいわゆる「雇われ経営者」といわれてしまう所以である。

経営者はなるまでよりも、なってからの方がやはり大変だ。

図)安定したいい余生の有力な条件(リタイア直前とリタイア後の状態マッチング)


残り4パターンとは?



今回はリタイア直前のキャリア構築を企業内で遂行することを目標としている人たちの、3つのキャリア目標パターンの話を整理してきたが、次回は既存の会社に依存しない、残りの4パターンに付き、解説する。

4) オーナー経営者として会社を経営している、乃至はオーナー(投資家)の状態まで行きたいパターン

5)  自分個人の能力で仕事を取れ、稼げる、いわゆるプロフェッショナルの枠を極めたいパターン(技術志向とプロフェッショナル組織構築志向の両方含む)

6) 大学教授やそれに準じる教育者になって、リタイアを迎えたいと感じているパターン。

7) その他、今は決めていない。やりたいことが他にあるため、仕事上のキャリアは生活に困らなければいいので気にしていない。乃至は一般的な枠組みにはまらない仕事をしている場合など。

まとめ)
リタイア直前のキャリアの選択パターンにより、リタイア後のライフ(余生)が大きく左右されてしまう。自分がどうなりたいか?よくよく考えた上で、リタイア直前のキャリアを設計する必要がある。

【ミニテスト3】


第一問:望むと望まないとにかかわらず、会社員として役職者にたどりつけないケースは少なくないが、そうなってしまうリスクを高める行動の例をあげよ?

第二問:企業の役職者になって、リタイア後に精神的「悠々自適」が期待できるケースはどんな場合か?

第三問:たとえ、社長であっても、その立場は年に一回評価され、再任されないリスクがある。評価されるタイミングはどのようなタイミングで、誰によって評価されるのか?

前回(連載第2回)のミニテストと模範解答
【ミニテスト2】
第一問:キャリアを経る毎に「将来XXになりたい!」って言わなくなってしまうのはなぜか?
第二問:早くリタイアするほうがよりハードルが高くなるのはなぜか?
第三問:30歳から毎年500万円資産形成し、60歳でリタイア、60歳から90歳まで使える年間生活費平均値概算(年金除く)はいくらか?

【ミニテスト2(回答案)】
第一問:「超短期的な仕事をこなすことにはまっていてゆっくり考える時間が無い」であり、また「いまの仕事の延長線以外で自分のキャリアを考えられなくなっていて、選択肢が無いことを直視するのが怖いから」など理由はさまざま。
第二問:リタイアの時期を早く設定すればするほど、現役期間が短くなる分キャリアをスピードアップしなければいけない可能性が高まるわけで、また、余生が長い分だけ蓄積しておかなければならない分が増えるので、ハードルはより高くなるといえよう。
第三問:500万円。

*注:テスト問題の性質上、回答案は著者の視点からの回答案の一つであり、すべての答えを網羅的にカバーしているとは限りません。

松川 孝一
シンクログローバル株式会社 代表取締役社長
株式会社日本ピーエスエス 代表取締役社長
早稲田大学商学研究科、早稲田大学ビジネススクール 客員教授
早稲田大学IT活用新ビジネス研究会 副理事長
学習院マネジメントスクール 講師・顧問

東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。
プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社入社。PwCコンサルティング株式会社 執行役員 パートナー、アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス株式会社 執行役員 パートナー 公益事業部長、株式会社大洋システムテクノロジー取締役を経て現職。
また現職のかたわら、早稲田大学ビジネススクール客員教授としてIT戦略マネジメントの授業、学習院マネジメントスクール顧問・講師としてABC/ABM、プロジェクトマネジメントの授業を受け持つ。

主著に「図解ABC/ABM(第二版)」東洋経済新報社、共著に「MOT」入門日本能率協会マネジメントセンターなどがある。
ここまでの約10年間の間、計500人以上の様々な会社におけるのプロフェッショナル職のキャリア相談を受けている。
現在、従来からのコストダウン、シェアアップのコンサルティングに加え、新しい事業コンセプト・事業モデルの開発にチャレンジ中。

http://www.syncgl.com/【シンクログローバル株式会社】
http://www.winb.org【早稲田大学IT活用新ビジネス研究会】

2007-08-06 12:49:30
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